2007年10月号 緊急地震速報
緊急地震速報を県民の安全に役立てよう
今年、10月1日より『緊急地震速報』の本格運用が開始されました。
緊急地震速報とは、地震動の伝播速度の違いから、強い揺れが襲ってくる前に、震度と到達時刻を予測して伝えるもので、被害を防ぐために大変有効な情報であります。ほんの30秒でも前に地震が来ることが分かれば、工場のラインを止め危険物の流出を防いだり、建設現場では作業員に知らせて転落を防いだり、電車は緊急停車して脱線を防いだりと、命を守るための緊急対応が可能となるからです。
緊急地震速報は地震発生後に地球表面を伝わってくるP波とS波の速度の違いを利用しているため、震源地が遠い場合はより正確で時間の余裕もあります。しかし、逆に、直下型のようにものすごく近いところで発生した地震に対しては、情報が間に合わなくなることもあります。揺れの大きさ(震度)の推定も到達時間の予測も100%正確ではありません。突如、「30秒後に震度6強の揺れが来ます」とデパートや駅で伝達されたら、人は混乱せずに対応できるのかということも疑問視されています。今までに例のない地震直前予報であり、伝達の仕方、効果的な活用のあり方は、いまだ模索の段階にあります。
それでも、緊急地震速報は今までなすすべもなく揺れに直撃されるしかなかった私たちに、揺れがくる前に、心構えと安全な姿勢をとるチャンスを与えてくれる重要な情報です。携帯電話や防災行政無線による県民への伝達、民間事業者の事故防止、デパートや駅といった集客施設でのお客さんの身を守るためのアナウンス、交通機関の混乱防止、小中学校での訓練導入など、今後県民のみなさまと行政がともに考えていくべき活用方は無数にあります。私は両者の橋渡しとなりながら、自らも新しいアイディアを提案し、実現していきたいと考えています。
例えば、学校の放送室に、緊急地震速報の受信機を導入し、震度5強以上の強い揺れが始まる数十秒前に『緊急地震速報』を自動で校内放送するような設備があれば、誰も受信機の前にいなかったとしても確実に情報が伝達され、教師は生徒を机の下等に退避させ、子供達は身体的にも気持ちの上でも地震に備えることができます。この仕組みは単純にすればあまり予算が必要なわけではなく、平常時にも臨場感あふれる避難訓練の始動放送として活用できます。
また、強い地震は何度か大きな余震を伴う可能性があります。災害時には学校の体育館は避難所として使われていますが、被災者は地震の揺れに敏感になっており、中越などでは余震が起こると悲鳴があがるなど、大変不安な気持ちの方が高齢者を中心に多くいらっしゃったとのことです。あらかじめ緊急地震速報が学校施設に導入されていれば、余震が発生したことを自動的に校内放送することができます。体育館にいる避難者の方々は、心の準備と体勢を整えるために、数十秒の余裕があり、互いに励まし合って耐えることが出来ます。
現状では学校や病院で、緊急地震速報を導入しようと考えたら、それぞれ個別に交渉しなければならない状況です。私は、埼玉県としての緊急地震速報活用方針を定めるよう尽力するとともに、関心のある民間事業者、または学校、病院関係者が安価で性能の高い機器を導入できるような補助金制度、モニター制度の成立にむけて活動していく予定です。
おくれている県内の公立学校耐震化
学校施設は、子ども達にとって1日の大半を過ごす学習・生活の場です。そして、その多くが、災害時の避難所として指定されています。中でも体育館は、災害時に被災者が避難生活を行う場所で、本震はもちろん余震でも被害を受けないよう、重点的に耐震化を図る必要があります。
しかし、今年6月に文部科学省で公表した「公立学校施設耐震改修状況調査」の結果では、平成19年4月1日現在の埼玉県内小中学校の耐震化率が、全国平均を下回る52.2%と、いまだに半数程度しか、耐震性能が確保されていません。また、各市町村の耐震化率については、市町村間で大きな格差が生じています。
平成18年1月に施行された「耐震改修促進法」の改正などを受けて、今年3月に県の建築指導課で策定した「埼玉県建築物耐震改修促進計画」では、市町村有建築物のうち学校施設について、平成27年度までに耐震化率を100%にする目標を定めています。また、国も来年平成20年〜24年を耐震推進のための重点機関と定め、予算が大幅に増額され、本年から地方債の元利償還金に対する交付税措置が行われるなど、手厚い補助を行う方針にあります。他県では、耐震化工事の一環としてメディア教室を新設し、通信回線の敷設を行った例もあります。
市町村によって小中学校の耐震化が進んでいない理由の一つは、工事中の騒音・粉塵、教室不足等の不便が挙げられると思います。私は、埼玉県内の公立学校の耐震化率を100%にするよう県の市町村指導を求め、こうした懸念を少なくする施工法や、より学校側にとって魅力ある耐震工事のあり方を、皆様のお知恵をいただきながら、さがしていきたいと思います。

