2008年5月号 後期高齢者医療制度その1
「延命治療をしますか?」
新たに導入された後期高齢者医療制度には「終末期相談支援料」というしくみがあります。これは死のせまった患者に「死の間際」の治療方針を相談して文書にすれば、その患者さんがなくなった後に、医師に報酬が支払われるというもの。余計な延命治療を受けさせず、医療費を削減しようとするしくみです。
確かに高齢者の医療費は現役世代の医療費の約5倍になります。しかしだからといって一番お金を使う75歳以上の高齢者の方のみを別立てにして、「もっと自分たちで負担をしてもらおう、なるべく医療を受けないでもらおう」という発想はあまりに安直です。
後期高齢者医療制度とは…75歳以上と65歳以上で一定以上の障害のある方が加入します(自動的に国民健康保険や被用者保険からは脱退)。新しい被保険者証が交付され、保険料は原則年金から天引きされます。これまでの市町村のかわりに都道府県を単位にした広域連合が運営します。
森岡の提言 〜人の命の尊厳を大切にする社会へ〜
20年程前、実は同じ失敗を日本はおかしています。当時の改革でも、医療費抑制を目的に議論が進み、医者が多すぎることが原因とされました。実際にどこに医者が多すぎるのかという実態を見ずに、医学部の定員をともかく削減しました。その結果、現在、まず小児科と産科から医師不足になり、さらに救急医療の分野へも広がろうとしています。
今回の後期高齢者医療制度でも今、きちんと見ていかないと同じような問題を引き起こしかねません。医療費の総コストをどう抑えるかに議論が集中し、実際に治療を受けるお年寄りに、どんな治療が必要なのか、どういった家庭の状況にあるのか、実際にサービスを受けるお年寄りの現実にもっと目を向ける必要があるのではないでしょうか。
例えば、実態を聞き歩いてみますと、政府の裕福なお年寄りに少し負担をしていただくという当初の説明と異なり、低所得のご家庭に限って負担増になっているような実感も受けます。6月に政府の集計結果が出る予定です。次号で掲載いたします。
民主党は後期高齢者医療制度の法案が提出された二年前から制度の問題点を指摘しましたが、政府与党に強行採決されてしまいました。これは前回の総選挙で私たち民主党が敗北を喫し、衆議院の過半数を奪えなかったからです。今度こそ、政権交代を実現し、後期高齢者医療制度を改め、一日も早く多くの方が安心して医療サービスを受けられるような新しい制度の実現をめざします。

